なぜ教員の給料は割に合わないと感じるのか?勤務実態と合わせて解説

2025.3.21

教員

なぜ教員の給料は割に合わないと感じるのか?勤務実態と合わせて解説

なぜ教員の給料は割に合わないと感じるのか?勤務実態と合わせて解説

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教員は「安定した職業」というイメージが強いですが、実際は長時間労働やサービス残業など過酷な労働環境で「給料が割に合わない」と感じる人も増えています。文部科学省の「令和4年度教員勤務実態調査」では、小学校教員の約29.1%、中学校教員の約30.5%が現在の年収に不満を感じていると回答しており、この問題は年々深刻化しています。

特に近年は、保護者対応の複雑化、デジタル化に伴う新たな業務増加、コロナ禍での授業形態の変更など、教員の負担は質・量ともに拡大する一方です。一日の勤務時間が12時間を超える教員も中にはおり、土日も部活動指導や授業準備に追われる状況が常態化しています。

こうした現状にもかかわらず、教員の給与水準は他の専門職と比較して据え置かれたままで、教員免許という専門資格を持ち、子どもたちの未来を担う重要な仕事をしているにもかかわらず、その対価が適正に評価されていないという声が教育現場から多く上がっています。

本記事では、教員の給料が割に合わないと言われる理由や背景、具体的な対策や今後のキャリアについて徹底解説します。

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なぜ教員の給料は「割に合わない」と感じるのか

給料が割に合わないと悩む教員たち

教員の多くが給料と労働の対価が見合っていないと感じる背景には、いくつかの要因があります。

長時間労働とサービス残業があるから

教員の一日は想像以上に長く、過酷です。文部科学省が2022年度に実施した「教員勤務実態調査(令和4年度)」の結果によると、1日あたりの勤務時間が小学校で約10時間45分、中学校で約11時間1分となっています。

特に部活動がある中学校教員の負担は大きい場合があります。具体的なイメージとしては、平日は朝7時に出勤し、部活指導があると夜8時まで学校に滞在。土日も部活があれば出勤するため、ほとんど休みがないという場合も珍しくはありません。

さらに、教員の残業代は「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」により、基本給の4%という一律手当で支給されています。これは月8時間程度の残業を想定した制度ですが、実際は月80時間以上の残業をしている教員も珍しくありません。実際の労働時間と報酬のギャップが存在するといえます。

» なぜ教員はブラックすぎるのか?構造的原因と働き方を変える3つの道

その結果、2023年12月20日に文部科学省が公表した「公立学校教職員の人事行政状況調査」では、精神疾患による休職者と1カ月以上の病気休暇取得者を合わせて、全体の約1.42%と、精神的な問題を抱えた状態で働いている職員がいることも明らかになりました。

責任の重さと精神的プレッシャーがある

教員の仕事は授業をするだけではありません。毎日の授業準備やテストの作成・採点、学級通信の作成など、目に見えない業務が山積みです。例えば小学校の教員では、45分の授業のために2〜3時間の準備をすることも珍しくないでしょう。

また、教員は児童・生徒の人格形成に大きく関わる重責を担っています。一言の言葉や態度が子どもの将来に影響することを常に意識しなければならず、その精神的負担は計り知れません。

さらに、保護者やPTAからの要望への対応も重要です。特に近年はSNSの普及により、些細な出来事でも大きな問題に発展するケースもでてきており、常に神経を使う状況です。生徒指導面では、問題行動のある生徒への対応や、いじめ問題への迅速な対処も求められます。

さらに複雑なのは、生徒と保護者との間に立つ場面です。家庭環境に問題がある場合、生徒を守りたい気持ちと保護者と協力して教育したい思いの間で板挟みになることも少なくありません。このような精神的なストレスは給与には反映されていません。

給与制度と昇給システムの限界

教員の給与は公務員としての給与テーブルに基づいているため、一定の上限があり、大幅な昇給を期待することは難しい状況です。特に20代では月給が20万円台前半というケースも多く、同年代の民間企業社員と比較すると低いと感じる教員は少なくありません。

文部科学省の統計によると、教員の平均年収は約640万円とされていますが、これはベテラン教員や管理職の高給が平均値を押し上げている面があります。実際、教員歴10年未満の教員の年収は400万円台であることが多いのが実態です。

また、地域によっても給料差が大きく、都市部と地方では最大で年間100万円近い差があるケースもあります。2022年度の調査では、東京都の小学校教員の平均年収が約680万円であるのに対し、地方の某県では約580万円という格差が報告されています。

さらに、民間企業であれば成果に応じた賞与アップや昇給が期待できますが、教員の場合は職務内容や成果を給与に反映させる仕組みが十分に整っていません。どれだけ熱心に指導しても、どれだけ生徒の成績が向上しても、基本的な昇給ペースは変わらないとも言えるのです。

また、民間企業であれば副業で収入を増やすという選択肢もありますが、教員の場合は原則として副業が制限されています。過酷な労働環境にもかかわらず、収入面での打開策が少ないのが現状です。

教員の給与水準と他業種との比較

青空と校舎

教員の給与が実際にどの程度のレベルなのか、他業種と比較しながら見ていきましょう。

公務員としての平均給与と実態

文部科学省の「令和4年度学校教員統計調査(確定値)」によると、公立学校教員の平均年収は以下のようになっています:

  • 20代前半(初任給):約330万円(月額約22万円+賞与)

  • 30代中盤:約480万円(月額約30万円+賞与)

  • 40代後半:約630万円(月額約38万円+賞与)

  • 50代(管理職):約750万円(月額約45万円+賞与)

一見すると悪くない水準に見えますが、実労働時間を考慮すると印象が変わってきます。学校には夏季休暇や冬季休暇があるというイメージから、教員は「余裕のある仕事」と思う人もいるかもしれませんが、実態は大きく異なります。

例えば、夏休み期間中も多くの教員は補習授業や部活動指導、研修、次学期の準備などで出勤しています。長期休暇があるというメリットが、実際にはほとんど活かせていない実態があるといえます。

他業種との年収、時間単価の比較

教員の年収水準を他業種と比較して、時間単価で見てみましょう。

大手企業の総合職(30代)の平均年収は約600万円、IT業界のエンジニア(30代)では約650万円程度とされています。一方、同年代の教員の年収は約480万円です。

しかし、実労働時間で比較すると差はさらに拡大します。一般企業の総合職の年間労働時間が約2,000時間であるのに対し、教員は約3,000時間と推定されています。

時間単価に換算すると、目安としては下記になります。

  • 一般企業総合職:約3,000円/時間

  • IT業界エンジニア:約3,250円/時間

  • 教員:約1,600円/時間

このように、時間単価で見ると教員の「割に合わない」と感じられる実態が数字で明らかになります。特に中学校教員は部活動指導なども含めると、さらに時間単価が下がるケースが多いです。

また、民間企業では残業代が別途支給されるケースが多いのに対し、教員は前述の通り給特法により基本的に残業代が出ないという違いもあります。

教員が「給料が割に合わない」と感じる時の3つの改善策

改善策を考えている教員たち

給料と労働のバランスが取れないと感じたとき、どのような対策が考えられるでしょうか。

業務の効率化

まずは自分一人でできることから始めましょう。教員の業務は際限なく広がる傾向がありますが、全てを完璧にこなす必要はありません。

例えば、「会議は30分以上はやらない」「連絡帳の返事は5行以内に収める」「授業準備は1時間以内に終わらせる」など、業務の上限を自分で決めることが大切です。

次に自分のパフォーマンスを高める工夫も効果的です。夜遅くまでの残業をやめて朝型の勤務にシフトした教員からは「午前中の集中力が上がり、結果的に業務効率が向上した」という声が聞かれます。休憩時間をしっかり取ることで、午後の業務効率が上がったという事例も多いです。

また、生成AI(ChatGPTやGemini)などのITツールの活用も効果的です。例えば、授業のワークシートの作成や、生徒がテストでよく間違える問題の別パターンの問題作成などに活用できます。

Microsoft TeamsやGoogle Classroomなどのツールを活用して、生徒とのコミュニケーションや提出物の管理を効率化している教員も増えています。これにより、採点作業や提出状況の確認が格段に楽になったという声も多いです。

職場・働き方の見直し

個人の努力だけでは限界がある場合、次は周囲への働きかけを検討しましょう。

まずは同僚や管理職との対話から始めることが大切です。「このままでは健康を害してしまう」という危機感を共有し、具体的な改善策を提案しましょう。例えば、会議の短縮化や書類の簡素化、開催する行事の絞り込みなどを提案することで、学校全体の業務効率化につながる可能性があります。

また、管理職や場合によっては教育委員会への働きかけを行い、部活動の外部委託や地域ボランティアの活用など、業務負担の軽減策を提案することも効果的です。実際に、神奈川県内の私立中学校では、部活動指導員を導入した結果、顧問教員の月間時間外労働が約95時間から約40時間に削減されました。特に、土日の練習や大会引率を外部コーチに任せることで、教員の負担が大幅に軽減され、平日の授業準備や生徒対応により集中できるようになったという事例もあります(PR TIMESより)。

最近では「チーム学校」という考え方も広がっており、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、事務職員など、専門スタッフとの連携を強化することで教員の負担を減らす取り組みも進んでいます。

また、勤務校の変更を検討するのも一つの選択肢です。学校によって校風や業務量は大きく異なりますので、より働きやすい環境に移ることで状況が改善するケースもあります。

教員以外のキャリアパスも視野に入れる

上記の対策を試みても改善が見られない場合は、教員以外のキャリアも検討する価値があります。

実は、教員の経験や能力は様々な分野で高く評価されています。例えば、教育関連企業(教材開発、教材開発企業、Edtech企業など)では教員経験者の知見が重宝されます。実際、大手教育企業では元教員を積極的に採用し、年収600万円以上で迎えられるケースもあります。

また、人事・研修担当やカスタマーサポート、キャリアアドバイザーに変更など、人とのコミュニケーションスキルを活かせる職種も教員経験者の転職先として人気です。

公務員として別の職種に移る選択肢もあります。教育委員会や自治体の教育関連部署では、現場経験を持つ元教員が重宝されています。勤務時間が安定していることが多く、ワークライフバランスの改善につながるケースも多いです。

クジラボでは、教員としてのキャリアが行き詰まったと感じる方に向けて、教員特化のプログラムで5,000名以上(※クジラボブランド累計 2026年6月時点)の相談に対応してきました。「先生以外の道が見えない」「具体的な選択肢が浮かばず転職に踏み切れない」「先生以外に何ができるのかわからない」といった方に向けて、元教員がキャリアデザインをサポートしているので、安心して無料相談いただけます。

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教員以外のキャリアを検討する際のポイント

教員以外のキャリアを検討する様子

教員を続けるか、別の道を探すかを考える際、以下のポイントを参考にしてみてください。

自分の将来ビジョンを考えてみる

まずは自分自身のキャリアの優先順位を整理することが重要です。例えばですが、「教員としてのやりがい」と「労働条件や年収」のどちらを重視するのかを考えてみましょう。

多くの教員は教育活動自体にやりがいを感じていますが、長時間労働や健康上の問題、給与や処遇への不満が離職の主な要因となっています。そのため、教員としてのやりがいと労働環境や待遇のバランスを考慮し、自身のキャリアプランを検討することが重要です。

自分にとっての理想の未来を具体的に思い描いてみることで、進むべき道が見えてくることもあります。5年後、10年後の自分がどうなっていたいのか、じっくり考えてみましょう。

情報収集とネットワーク作り

キャリアの選択肢を広げるためには、積極的な情報収集が欠かせません。教員経験者のコミュニティに参加したり、SNSなどで情報交換したりするのも有効です。

例えば、「元教員ネットワーク」などのオンラインコミュニティでは、様々な分野に転身した元教員の経験談を聞くことができます。ある元教員は「転職を考え始めた頃は不安だらけだったが、同じ立場の人々と情報交換することで具体的なキャリアイメージが湧いてきた」と振り返っています。

また、教育業界以外の人とのつながりを意識的に作ることも大切です。PTAや地域活動を通じて様々な職業の人と交流することで、思いもよらない転職先が見つかることもあります。実際に、保護者との交流がきっかけで企業の教育研修担当に転職したという元教員の例もあります。

給料が割に合わず、しんどい場合は

給料が割に合わないと悩んでいる教員

教員の仕事に疲弊を感じている場合、以下のようなアプローチを検討してみましょう。

精神的・身体的に続けるのが辛い時は

心身の健康は何よりも優先されるべきです。文部科学省の調査結果では、2023年度に精神疾患で休職した公立学校の教職員数は7,119人いました。

精神的・身体的に限界を感じている場合は、心が完全に壊れる前に対応に動くことが重要です。まずは産業医や専門医への相談を検討しましょう。必要に応じて休職も選択肢の一つです。実際、適切なタイミングで休職し、その後復帰できた教員も少なくありません。

また、他校への異動や転職を検討することも一つの方法です。環境が変わることで状況が改善するケースも多いからです。ある教員は「毎日が辛くて退職を考えていたが、異動先の学校は業務効率化が進んでおり、勤務時間が大幅に短縮された。今は教員を続ける意欲が戻ってきた」と話しています。

軽度の負担であれば、生活習慣の改善も効果的です。ジムに通って適度な運動をしたり、睡眠の質を高めたり、食事内容を見直したりすることで、ストレス耐性が向上するケースもあります。

しかし、根本的な労働環境の問題がある場合、個人の努力だけでは限界があります。そのような場合は、専門家に相談して客観的な視点からアドバイスを受けることが大切です。

すでに職場に行きたくない場合は

職場に行くこと自体に強い抵抗を感じる状況は、サインとして軽視すべきではありません。このような状態は、うつ病や適応障害など、専門的な治療が必要な状態に陥っている可能性もあります。

まずは今の職場が問題なのか、教員という職業自体があなたに合っていないのかを見極めることが大切です。これは一人で判断するのではなく、専門家の助けを借りることをお勧めします。

クジラボでは、現役教員や元教員のカウンセラーが、あなたの状況を丁寧に聞き取り、最適な選択肢を一緒に考えていきます。教員を続けられる可能性と今年で転職すべき可能性、いずれも第三者のプロが冷静にあなたの相談に乗らせていただきます。

教員にやりがいを全く感じない

かつては情熱を持って取り組んでいた教育現場に、もはややりがいを感じられないという状態は、現在の職場での精神的、または肉体的な負担が大きいサインかもしれません。

心身の消耗が大きいと、改善策を考えたりする余裕がもうない場合もあります。そのような状況では、まずは十分な休息を取ることが先決です。無理に現状を続けることで、状況が悪化するリスクもあります。

ある教員は「毎日が義務的になり、子どもたちと接することにも喜びを感じなくなっていた。思い切って3か月の休職を取り、その間に自分を見つめ直した結果、別の形で教育に関わる道を選んだ」と振り返っています。

給料が割に合わないと感じたら、行動を起こそう

行動を起こしている教員

教員の給料が「割に合わない」と感じる背景は、長時間労働や過度な責任と給与テーブルとのギャップにあることが明らかになりました。これは個人の問題ではなく、教育システム全体の課題でもあります。

しかし、現状に不満を感じるだけでは何も変わりません。自分自身の将来や働き方に不安があるなら、まずは情報収集やキャリア相談を始めることが大切です。一人で抱え込まず、専門家の力を借りることで、新たな可能性が見えてくることもあります。

教育現場の状況は少しずつ変わりつつあります。働き方改革や業務効率化の取り組みも徐々に広がっており、教員の労働環境を改善しようという動きも各地で始まっています。一方で、自分自身のキャリアは自分で選択していくものです。

「クジラボ」は教員のキャリアに特化したサポートが得られるので、気軽にご相談ください。教員以外のキャリアの選択肢のイメージが得られたり、ご自身の気づいていない強みを発見したりなど、自分らしく生きられるキャリアを見つけるためのお手伝いをします。

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