
「キャリアプランを書いてください」と言われたとき、頭が真っ白になってしまった経験はないでしょうか。
面談の期日は迫っているのに、「5年後・10年後の姿が何も浮かんでこない…」「管理職も認定看護師も目指したいわけではないけれど、特にないとも書けない…」といった状況に追い込まれている看護師は、決して少なくありません。
そこで、この記事では、場面・経験年数別のキャリアプラン例文を紹介するとともに、書くときのコツや注意点、例文が浮かばない理由と対処法まで詳しく解説します。面談を乗り切るためだけでなく、自分のキャリアを自分の言葉で語れるようになるためのヒントとして活用してみてください。
「例文より先に、自分がどう働きたいかを整理したい」といった方は、クジラボの無料キャリアカウンセリングを検討してみてください。転職を前提とせず、看護師専門のカウンセラーがあなたの価値観と強みを一緒に言語化するお手伝いをいたします。
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例文を知るよりもまず、キャリアプランとは何かを整理しておきましょう。面談や目標管理シートで何を求められているのかを理解することが、例文を書く前の大切な準備になります。
キャリアプランとは、これからどのように成長・活躍していきたいかという将来の方向性と、そこへ向かうための目標・行動を言語化したものです。
職場の面談や目標管理シートで問われる「キャリアプラン」は多くの場合、以下の3軸で記述することを求められます。
短期目標(1年以内)
中期目標(3〜5年後)
長期目標(10年後)
また、採用面接では、入職後にどう貢献したいか、またどう成長したいかを伝えるものとして機能します。
キャリアプランは仕事上の目標だけに限りません。結婚・出産・介護といったライフイベントを見据えた、自分らしい働き方まで含めて考えることが、長期的なキャリアの満足度につながります。
キャリアプランを書くときは、時間軸を3段階に分け、それぞれ以下の問いに応えるとまとまりやすくなります。
目標・期間 | 問い |
短期目標(1年以内) | 今の職場で取り組みたい具体的な行動や学びは何か? |
中期目標(3〜5年後) | どんなスキルや経験を積んでいたいか? |
長期目標(10年後) | どんな状態で働いていたいか・どんな人でありたいか? |
長期目標は職業上の目標だけでなく、どんな生活を送りたいかの視点で考えると、自分らしいキャリアプランになります。
5年後・10年後が描けない場合は、まず1年後の自分からイメージを膨らませましょう。そこから逆算して中期・長期の目標を描いていくのが、書き始めやすい方法です。

ここでは、場面・経験年数別にキャリアプランの例文をご紹介します。そのままコピーするのではなく、自分の経験や言葉に置き換えながら参考にしてみてください。
入職後の最初の面談や目標設定シートでは、3年後・5年後のビジョンよりも、この1年でどんな看護師になりたいかといった、短期的な成長目標が求められます。まだ現場に慣れていない時期だからこそ、今学びたいこと・取り組みたいことを素直に書くことで、意欲と誠実さが伝わる内容になります。
例文を3つ紹介するので、自分の状況や言葉に置き換えながら参考にしてみてください。
まずは日々の業務を確実にこなせるよう、バイタルサインのアセスメントや基礎的な看護技術を丁寧に身につけていきたいと考えています。先輩のご指導から積極的に学び、1年後には一通りの業務を自立して行えるようになることを目標としています。将来的には、患者さんが安心して入院生活を送れるよう、寄り添った関わりのできる看護師を目指します。
技術面では先輩のご指導を積極的にいただきながら着実にスキルを高め、同時に患者さんの話をじっくり聞く姿勢を大切にした関わりを実践していきたいと思っています。日々の業務の中で気づいたことを記録として残す習慣を身につけ、振り返りを通じて成長できる1年にしたいです。将来的には、どんな患者さんにも安心して声をかけてもらえる、信頼される看護師を目指しています。
入職後はまず病棟全体の業務の流れを把握し、先輩のご指導のもとで基礎的な看護技術を身につけることを優先したいと思っています。その中で現在関心のある〇〇の分野についても少しずつ知識を深め、3年後には担当業務に自信を持って取り組める看護師に成長したいと考えています。
看護師経験2〜5年目は、技術は一通りできるようになったものの、この先どうするかが見えにくい時期です。プリセプターやリーダー業務を任されるようになったり、後輩の指導を意識し始めたりするタイミングでもあります。
ここでは、面談と転職におけるキャリアプランの例文をそれぞれ見ていきましょう。
今年度はプリセプターとして後輩のサポートを担う機会をいただいています。指導を通じて自分自身の看護を見つめ直しながら、技術面だけでなく精神的な支えにもなれる関わり方を実践していきたいと思っています。「この先輩に相談してよかった」と感じてもらえる存在を目標にしながら、中長期的にはチームの中でリーダーシップを発揮できる看護師へ成長していきたいです。
現在の病棟での経験を通じ、〇〇(例:退院支援・慢性期看護)の分野に特に関心が深まっています。3年後には、この領域においてチームのメンバーから意見を求められるような存在になることを目標としています。そのために院内外の研修への積極的な参加と、日々のケアに対する振り返りの習慣を継続していきたいと考えています。
病棟での経験を通じて、患者さん一人ひとりとじっくり向き合える看護がしたいという思いが強くなり、転職を決意しました。急性期での3年間で培ったアセスメント力や急変対応の経験を基盤にしながら、貴ステーションでより継続的な関わりができる看護師へと成長していきたいと考えています。5年後には、担当する患者さんやご家族から信頼していただける存在になることを目標とし、夜勤のない働き方の中でも看護師としての専門性を着実に積み上げていきたいです。
現在の病棟での経験を通じて、〇〇(例:がん看護・循環器)の分野に強い関心を持つようになりました。今の職場では経験できる症例に限りがあり、この領域をより深く学べる環境へ移りたいと考えたことが転職のきっかけです。貴院での経験を通じて、5年後にはこの分野においてチームメンバーから意見を求められる存在になることを目指しています。将来的には認定看護師の取得も視野に入れながら、専門性を高めてチーム全体の看護の質向上に貢献していきたいです。
面談や目標管理シートでは、今の自分の延長線上にある目標を書くことが大切です。管理職や認定看護師を目指していなくても、自分の看護観や大切にしていることを軸にした例文で十分に成立します。
経験5年以上の看護師が転職活動でキャリアプランを聞かれた場合、これまでの実績と今後の方向性をセットで語ることが採用担当者に響くポイントです。具体的な例文を3つご紹介します。
これまで〇〇病棟で培った経験を活かしながら、貴院でさらに専門的な知識・技術を磨いていきたいと考えています。5年後には担当領域において後輩への指導も担えるレベルの専門性を身につけ、チーム全体の看護の質向上に貢献できる存在になることを目指しています。将来的には認定看護師の取得も視野に入れながら、自分のペースでキャリアを積み上げていきたいです。
病棟での6年間の経験を基盤として、今後は訪問看護という形でより患者さんの生活に近い場所で看護に携わりたいと考えています。在宅の場では一人ひとりの生活背景に合わせた関わりが求められると理解しており、これまでの経験を活かしながらより深く患者さんを支えられる看護師を目指したいです。5年後には、地域で信頼していただけるかかりつけ看護師になることを目標としています。
病棟での経験を通じて培った多職種との調整力・患者さんへのコミュニケーション能力・緊急時でも優先順位をつけて動ける判断力を、医療系の業界で別の形で活かしていきたいと考えています。具体的には、医療現場を外側から支えるITや機器の領域に関心があります。5年後には現場経験のある人材として、医療の課題解決に貢献できる立場で働いていたいと思っています。
ここまで、年数・場面ごとのキャリアプランの例について見てきました。例はあくまで参考にし、自分の言葉に置き換えるようにしましょう。なお、転職活動でのキャリアプランの語り方に迷う場合は、自己理解を深めることが大切です。

例文を参考にしながらも、どう書けばより伝わるかを意識することが大切です。コツを押さえることで、面談官・採用担当者に響くキャリアプランに仕上げられます。
ここからは、キャリアプランを書くときのコツと注意点を4つご紹介します。
5年後・10年後が思い描けない場合は、遠い未来から考えようとするのをいったんやめてみましょう。まずは、今の仕事で続けたいこと・続けたくないことを書き出すところから始めてみてください。以下はその一例です。
続けたいこと
患者さんと関わる時間
これまで身につけた看護スキル
チームで協力して働くこと
続けたくないこと
夜勤や不規則な勤務
人手不足で余裕がない働き方
自分の希望を後回しにする働き方
どのような小さな気づきでも構いません。書き出した内容を整理すると、自分が働きたい環境をはじめとした方向性が少しずつ見えてきます。大きな目標がなくても、この積み重ねがキャリアプランの核になっていきます。
キャリアプランにおいては、管理職を目指したり、認定看護師を取得したりすることだけが正解ではありません。大切なのは、自分がどのような働き方を望み、何を大切にして看護師を続けたいのかを言葉にすることです。
たとえば、「訪問看護に移って患者さんとじっくり関わりたい」「夜勤なしで働きながら専門性を深めたい」「育児と両立しながら看護師を続けたい」といった目標も、十分にキャリアプランとして成立します。自分の価値観に根ざした目標であれば、面談や採用面接でも納得感のある言葉として伝えやすくなるでしょう。
「何も思い浮かばないけれど、とにかく書かなければならない」といった状況では、次の3点を順番に書き出してつなぐだけで、一応の形になります。
①:今の仕事で大切にしていること
②:1年後にできるようになりたいこと
③:将来どんな状態で働いていたいか
完璧な目標がなくても、今の自分が考えていることを素直に書いた文章のほうが、面談官には誠実な印象を与えます。
ただし、仮置き例文はあくまで、場をつなぐ一時的な手段です。面談を乗り切れても、自分のキャリアの軸が育つわけではありません。例文を書きながら、本当は自分がどう働きたいのかを考え始める入口として活用することが大切です。
なお、第三者にキャリアに対する正直な思いを吐き出してみることも一つの手です。
私たちクジラボは転職を前提とせず、「今の職場を続ける」「環境を変える」どちらの選択肢もフラットに扱いながら、累計5,000件以上の看護師の相談に向き合ってきました。キャリアプランを自分の言葉で語れるようになるために、まず一度私たちと話してみませんか?
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キャリアプランは、一度書いたら完成ではありません。面談や転職活動、自分の状況や価値観が変化するたびに、少しずつ見直していくものです。「去年書いたキャリアプランが今の自分とズレてきた」と感じるなら、成長している証拠といえます。
定期的に立ち止まり、今の自分が大切にしていることは何かを問い直す習慣が、長期的なキャリアの充実につながります。完璧なプランよりも、今の自分に正直なプランを更新し続けることのほうが大切だといえるでしょう。

キャリアプランの内容によっては、面談官・採用担当者に逆効果な印象を与えてしまうことがあります。特に注意したい3つのNGを確認しておきましょう。
面談官・採用担当者には、借り物の言葉はすぐに伝わります。例文をそのまま使うと、一見きれいにまとまっていても、追加で「なぜそのキャリアプランなのですか?」「これまでの経験とどうつながっていますか?」と質問されたときに答えに詰まってしまう可能性があります。
例文はあくまで参考として活用し、自分の経験や大切にしている価値観に置き換えることが重要です。たとえば、患者さんとの関わりで印象に残っている場面や、今後も続けたい働き方を加えるだけでも、自分の言葉として伝わりやすくなります。
キャリアプランがすぐに思い浮かばないからといって、「特にありません」と白紙にするのは避けましょう。面談官や採用担当者に、意欲や自己理解が不足している印象を与えてしまう可能性があります。
明確な目標がまだ定まっていなくても、今の仕事で大切にしていることや、今後も続けたい働き方を書くだけで構いません。「患者さんと丁寧に関わりたい」「まずは今の業務を安定して行えるようになりたい」といった内容でも、前向きな姿勢は十分に伝わります。完璧な目標よりも、今の自分の考えを誠実に言葉にすることが大切です。
キャリアプランでは、現実とかけ離れた壮大すぎる目標を書くことも避けたいポイントです。応募先では実現できない目標や、今の経験・スキルと大きく離れた内容を書くと、かえって信頼性が損なわれる可能性があります。
たとえば、具体的な経験がないまま「すぐに管理職を目指したい」と書くよりも、「まずは担当業務に自信を持ち、後輩に相談される存在を目指したい」と書くほうが自然です。大切なのは、今の自分の延長線上にある目標を言葉にすることです。等身大のキャリアプランのほうが、面談や採用面接でも説得力を持ちます。

「何も浮かばない」と感じるのは、あなただけではありません。その背景には、多くの看護師に共通する2つの理由があります。
キャリアの選択肢が管理職か認定看護師しかないといった思い込みがある
他人軸で働いてきたために、自分の価値観が見えにくくなっている
それぞれ詳しく見ていきましょう。
看護師のキャリアといえば、管理職か認定・専門看護師のイメージが根強くあります。しかしそれらは、看護師が目指せるキャリアのほんの一部です。実際には、看護師の経験を活かせるキャリアの選択肢は多岐にわたります。具体的には以下のとおりです。
訪問看護
産業看護師
医療系企業
異業種転職
「管理職は目指したくないけど、認定を取る気力もない」という状態は、選択肢の少なさへの閉塞感であり、能力や意欲の問題ではありません。選択肢の幅を広げることで、キャリアプランに対するモヤモヤは少しずつほぐれていきます。
「親に資格を取らせてもらったから」「周りに迷惑をかけないように」と、無意識のうちに他人軸で仕事を選び続けてきた結果、自分が本当に何をしたいのかがわからなくなっている看護師は少なくありません。
実際にクジラボのキャリアカウンセリングをご利用いただいた看護師の方は「これまでの人生がいかに思考停止で、レールの上を歩くだけだったか」と気づいた瞬間を転機として語っています。自分の価値観や強みに向き合う時間を持つことが、キャリアプランを書けない状態を変える第一歩になるでしょう。

キャリアプランを考えるうえで、どのような選択肢があるのかを知ることも重要です。管理職・認定看護師以外にも、看護師のキャリアの道筋は多岐にわたります。
ここでは、専門性・働き方・別の道の3つの視点から、キャリアの方向性を整理します。
看護師として現場で働き続けたい場合は、専門性を深める方向性があります。認定看護師・専門看護師・特定行為研修修了者など、特定領域の知識やスキルを高めるキャリアパスです。
急性期・慢性期・緩和ケア・救急看護など、領域ごとに求められる専門性は異なります。自分が関心を持てる分野を見つけ、経験を積みながら学びを深めていくことで、現場で頼られる存在を目指せるでしょう。また、主任・師長・看護部長など、組織のマネジメントに関わる管理職ルートも選択肢の一つです。
「看護師は続けたいが、今の働き方が合っていない」と感じる場合は、職場や働き方を変える方向性もあります。たとえば、訪問看護・健診センター・産業看護師・保育園などは、病棟とは異なる働き方を選びやすい職場です。
夜勤なし・土日休み・日勤中心など、ライフスタイルに合わせた環境へ移ることで、看護師としての経験を活かしながら無理なく働き続けられる可能性があります。今の職場が合わないからといって、看護師自体をあきらめる必要はありません。
看護師の経験を活かしながら、異なる環境で働きたい方には、医療IT・治験コーディネーター・医療機器メーカー・産業保健など、医療・ヘルスケア領域で看護経験を活かす選択肢もあります。
看護師で培った以下のスキルは、ビジネスの世界でも十分に評価されるポータブルスキル(持ち運び可能な能力)です。
多職種との調整力
患者さんへの安心感を与えるコミュニケーション
優先順位をつけながらマルチタスクをこなす力
「自分には看護スキルしかない」といった思い込みを手放すことが、新たなキャリアの出発点になります。

キャリアプランを言語化しようとする気持ちは、自分の将来をしっかりと考えたいサインでもあります。
ただし、例文はあくまで入口であり、本当に大切なのは、自分が何を大切にして働きたいのかといった軸を育てることです。面談を乗り切るためのキャリアプランではなく、自分の人生を自分で選ぶための言葉を少しずつ育てていくようにしましょう。
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